▼椿灰の材料
椿灰の材料としては、主として冬、椿の花も葉もたくさんついたままの、直径3~5cmくらいの小枝である。
冬に切った、枝にびっしりついた葉はある程度の期間そのままおいても落ちることはないので、灰の品質はとても安定してくる。
その葉に多く含まれるアルミナ成分(酸化アルミニウム)が特に染色においてはよい作用をもたらすということで、この椿灰を必要とされる人は多い。
また焼き物作りの釉薬としては、酸化第二鉄などの成分が少ないので、透明釉、また黄瀬戸釉などに使用するため、必要とする人も多い。
やぶ椿の木は滅多に切ることはない。伸びすぎ、込みすぎで切ったという人に頼んで分けてもらう。
軽トラックに積んで灰窯の場所まで運ぶが、椿の枝は曲がったり撥ねたりしているものがとても多いので、車にはいくらも積めない。
3km、5kmと離れた場所からでは一日にたいした量を運ぶことは難しく、無駄のようにも見える多くの手間がかかる仕事である。